舌下免疫療法とは
アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を体内へ少量ずつ投与していき、体をアレルゲンに慣らしてアレルギーを和らげる治療のことをアレルギー免疫療法といいますが、舌下免疫療法もその一種です。この場合は、舌の下に少量のアレルゲンを投与し、一定の量に達するまで徐々に増やして体を慣れさせ、やがてアレルギーを緩和していく治療法です。
この舌下免疫治療法は、スギ花粉が原因の季節性アレルギー性鼻炎の患者様とダニ抗原による通年性アレルギー性鼻炎の患者様を対象としていますが、まずは患者様にとってこの治療法が適切か否かを判定する必要があるので、血液検査でアレルギーの診断をする必要があります。
その結果、治療が適切と判断されれば治療の開始となります。服用方法は1日1回で、アレルゲンとされるスギ花粉あるいはダニの成分が含まれる錠剤を舌の下で1分ほど保持した後に飲み込みます。初回服用時は、副作用などの影響を確認する必要もあるので医師の指導の下で行います。そして問題がなければ2回目以降は自宅で服用します。なお、スギ花粉による舌下免疫療法では、スギ非飛散期の6~11月の時期に開始する必要があります。
どちら(スギ花粉、ダニ抗原)にしても少量から服用し始め、一定の量に達するまで徐々にアレルゲンの成分を増やしていきます。その後決められた一定量を数年間にわたって服用します。なお実際に効果があるかどうかは、スギ花粉症の場合は翌シーズンから、ダニアレルギー性鼻炎の場合は数ヶ月後に判明します。効果が確認できれば、さらに3年以上治療を継続することが推奨されています。
治療の効果が確認できれば、アレルギーの症状が軽減、あるいは長い間にわたり抑えられるようになります。ただし、舌下免疫療法はすべての方に効果があるわけではなく、全体の70~80%の方に程度の差はありますが有効といわれています。
副作用としては、口の中の浮腫、かゆみ、不快感や喉の刺激感、耳のかゆみなどが報告されており、重症になると非常に稀ではありますがアナフィラキシーなどの症状が出ることもあります。このような症状がみられたら速やかに担当医師にご相談ください。
なお同療法につきましては保険適応となりますが5歳からの適応となり、5歳未満の小児には治療は行えません。
※スギおよびダニの舌下免疫療法を両方同時にスタートすることは勧められていません。まずどちらかの治療を優先することになります。