はなの病気について
鼻は肺や気管を守るために、吸った空気を温め加湿し、ウイルスや細菌、ほこりなどが体内に侵入するのを防いで、きれいな空気を肺に送り込むためのフィルターのような役割があります。鼻の病気になると、これらの機能が働かなくなり、ウイルスや細菌がのどや肺に直接入り込んでしまい、身体に悪影響をおよぼします。
主なはなの病気の症状
- くしゃみ
- 鼻みず
- 鼻づまり
- 鼻がのどに垂れる
- かゆみ
- においがわからない
- 鼻やほおの痛み
- 鼻血
- いびき
等
主な鼻の疾患
副鼻腔炎
鼻の副鼻腔という場所に炎症が起きます。風邪の症状が現れ、1週間ほどしてから、細菌感染が副鼻腔に起こり発症します。
症状は、鼻汁が絶えず出てくる、鼻がのどにたれる、よく鼻をかむ、常に鼻がつまっている、口で呼吸をしている、いびきをかく、においがわからない、頭痛がする、などがあります。
検査は、鼻鏡検査、内視鏡検査などを行います。
治療は、薬物療法や、鼻内処置などを行います。
鼻血
鼻出血の大半は、キーゼルバッハ部位という場所からのものです。キーゼルバッハ部位は、鼻に指を少し入れたときに指先が内側に触れる部分です。ここは薄い粘膜でできているうえ、たくさんの毛細血管が網の目のように走っているので、ちょっと傷がつくと出血します。この出血を止めるには、親指と人差し指で小鼻をつまんで圧迫するのが簡単かつ効果的です。
また、成人の鼻血で多いのは高血圧によるものです。脳梗塞や心筋梗塞など、命にかかわる病気の危険因子でもありますので、この場合には血圧のコントロールが必要になります。
検査では、まずは鼻の中をよく観察し、出血している箇所を確認します。鼻の奥からの出血の場合、鼻腔用ファイバーを用いて出血部位を確認します。
出血部位を確認したら、なかなか止まりにくい出血の場合は、電気凝固などで止血処置を行います
鼻中隔彎曲症
鼻の穴を左右に分けている壁である鼻中隔が極端に曲がっている状態のことです。
症状としては、鼻がつまる、いびきをかく、などの症状があります。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)があると、その症状はさらに強くなります。
検査は前鼻鏡で鼻孔を広げ、肉眼で観察し、内視鏡検査で鼻の奥まで観察します。
治療は鼻づまりなどの症状がひどい場合は、鼻中隔矯正手術を行います。鼻中隔矯正手術で、曲がっている鼻中隔の軟骨等を取り除き、まっすぐ矯正します。手術は全身麻酔下で行い1週間程度の入院が必要となりますので、その場合は連携医療機関をご紹介いたします。
嗅覚障害
鼻がつまっているわけでもないのに、鼻がきかなくなる疾患を嗅覚障害と言います。嗅覚障害は原因によって、呼吸性、嗅粘膜性、混合性、中枢性の4つに分類できます。
1.「呼吸性」は、においの分子が嗅粘膜まで届かない状態で、鼻づまりやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などが解消されれば嗅覚は戻ります。
2.「嗅粘膜性」は、風邪ウイルスなどによって嗅粘膜に障害がある状態です。薬物で治療しますが、回復しない場合もあります。
3.「混合性」は、「呼吸性」と「嗅粘膜性」が同時に起こった場合のことです。
4.「中枢性」は頭部外傷などによる神経損傷が原因となり、今のところ有効な治療法は見つかっておりません。
また嗅覚障害の原因として多いのが慢性副鼻腔炎(蓄膿症)です。慢性副鼻腔炎では呼吸性の障害が多いことから、鼻の手術で換気が良くなればにおいの感覚も改善します。炎症やウイルスによって嗅粘膜に障害が生じたと考えられる場合、主な治療法はステロイド剤の点鼻や、神経を活性化させるビタミンB剤の内服となります。